「あ…はい。」


サッと袖を下ろして襖の方を向く。


そこには自己紹介の時にはいなかった人が立っていた。


「さっきは行けなくてわるかったなぁ。俺は山崎烝。よろしくな。」


関西弁で話す彼は優しい雰囲気をまとっているように見える。


けど…。多分、忍だ。



「花乃です。よろしくお願いします。」


「傷、見してみぃ。」


「え…。」


「俺が手当てしたんや。身体中ひどい怪我やったんやで。まだ痛むやろ。」


そしてそっと私の左腕を持ち上げた。


「包帯変えるで。」


少しずつ、解けていく包帯に心臓がバクバクと音を立てている。


どうなってる?あの刺青は…?


包帯が全て取られ、地肌が見えた。



「特にここ。ひどい傷や。」


そこには刀傷でぼろぼろになった腕があった。


私は心の底からホッとした。


よかった…!刺青、無くなってる!


逃げる途中、左腕の刺青は…斬った。


短刀で見えなくなるまで何度も何度も刀を刺した。


「跡が残ってまうかもなぁ…。女子やのに。」


山崎さんが悲しそうに言うから少し申し訳なくなった。


それは私が自分でやったものだから…。


山崎さんは傷口に薬を塗って包帯を巻き直してくれた。


他の傷は寝ていた3日間でだいぶ良くなったらしい。


と言っても薬は付けるのだけど。


山崎さんが塗ってやると言ったけれど流石に断った。


毎日付けるようにと山崎さんは薬を置いてしぶしぶ部屋を後にした。