「歩いていたら知らない人達に級に追いかけられたんです。怖くて、逃げていたらそのまま倒れてしまって…。」




「この辺は物騒だからね。怖かったでしょう?」



「はい……。」



沖田さんの優しい言葉に申し訳なくなる。



逃げてたのは本当だけど知らない人なんかじゃない。



「お前どこから来たんだ?」



相変わらず土方さんの冷たい視線と言葉。



「江戸から参りました。」



これは嘘じゃない。私の生まれは本当に江戸だしね。



「なぜ江戸から京まで」



「…生き別れの弟を探しに。」



この言葉に部屋の空気は重くなる。



「…弟さんは見つかったのかね?」



「いいえ…。」


さすがの土方さんも少し気まずそうな顔をしている。



すごく申し訳ない。




だって、嘘だから。



「辛かっただろう…。」



近藤さんはそう言って泣いていた。



その姿に胸が締め付けられる。



なぜ……?



前までは嘘をついてもなんとも思わなかったのにこの人たちにつく嘘はすごく、痛い。



「花乃くん、行くあてはあるのかい?」



「い、いえ…。」



ずっとあいつらといたから頼れる人どころか知り合いすらこの京にはいない。



「そうか。ならここにいたらいい!」




「「…は!?」」


私と土方さんの声が重なる。


「それはいいですね!!花乃、ここにいなよ!」



それとは反対に沖田さんはノリノリだ。



「ち、ちょっと待て近藤さん!ここは女人禁制だぞ!?」



「女中をして貰えばいいじゃないか!花乃くんどうだね?」




ここにいれば、あいつらに見つかることはない…?



この体で見つかってしまえば逃げられない…。



「よ、よろしくお願いします…。」