うっ、自分で言って悲しくなって、小さくにゃあ、と鳴いてしまいました。

ここがどんな場所で、安全かどうかも分からないのに。


ドタドタとどこからが音が聞こえたかと思うと、すぐさまこの部屋のドアから男が入ってきました。

壁全部が真っ黒で、扉との境目も分かりませんでしたから、そこにドアがあったことを初めて知りました。

だからといってどうしようもできないのですけれど。


大柄で、身なりもボロボロで、言うならば山賊のお頭みたいな男は私に近づいてきました。


ゾクリとして、トゲトゲと毛を逆立てて、うなります。


けれども、男は私の様子を関せずに近づいてきました。


『に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛!!!』

「……ッ、かわいくねぇ奴だな」


首根っこを捕まえられた私は、驚きと屈辱で本気で男の腕を引っ掻きました。

威嚇して距離をとるけれど、狭い部屋に逃げられる場所は限られています。

すぐに壁際に追い込まられ、絶体絶命のピンチです。