「きゃー!隼人せんぱーい♡」
「いやー!ちょーかっこいい♡」

4月11日、この幸山学園で新入生の入学式が行われた。
面倒なことに俺は在校生代表の挨拶をしなければいけなくなった。
「えー、新入生の皆さんご入学おめでとうございます。」
「これからの学校生活、学業だとかいろいろ頑張ってください。…えっと、以上です。」
あまりいうことを考えていなかったせいで、なんか中途半端に終わってしまった。
「はい。では、次に、新入生代表挨拶。
代表、青井さくさん。」
「はい!」
黒髪のロングヘアー、少したれた目。緊張に押しつぶされそうなあの小動物感。
正直、可愛いなと思った。
「これから、私たちは学業に励んだり、部活とか様々なことに挑戦します。
その際、先輩方や先生方に頼ったりすることがあるかもしれません。迷惑をかけるかも知れませんが宜しくお願いします!」
俺とは全く違ってまるで前日まで考えてあるような内容だった。
そして、俺は人生で初めての恋をした。
たぶん、一目惚れだった。

入学式から一ヶ月ほどたち、俺は青井に話しかけた。
「青井さんだよね?新入生代表の。ちょっと話したいことあってさ、きて。」
青井は、何かわからない様子で俺のあとからついてきた。
たまらなくかわいかった。
「…あ、えっと、三坂先輩の事は知ってます!中学の時から同級生がいろいろ話していたので!」
「それで、あの、話したいことって何ですか?」
俺は覚悟を決めた。
「俺、入学式の時に青井さんに一目惚れしたんだ。お試しでいい。俺と付き合って下さい。」
青井は焦っていた。
「え、でも、私、動きにぶいし、ガサツだし、何より先輩に釣り合うほどかわいくないし…」「だから、とりあえずお試しでいい。青井さんが無理だと思ったら俺はあきらめる。それでどう?」
「はい。よろしくお願いします!」

この日から俺と青井はお試しだけど付き合い始めた。