「もう、困る困る」
「イケメンが会社にいるのも、困りものですよね。仕事に支障をきたすくらいなんて、ちょっと考えものですよ」
「でも、そういう佐藤さんは、どうなの?」
「へ?」
「ずっと、鬼頭さんといるわけでしょ?あの、ファンクラブまである。仕事が手につかないくらいドキドキしたり、異性として見ちゃうとか、無いの?」
私は、飲んでいた味噌汁を吹き出しそうになってしまった。
あっぶな。
「無い無い、絶対に無いです、それは。だってもう三年以上部下やっていますけど、課長のこと、異性とかそういう風に思ったこと一度もありませんし。課長で仕事が手につかないなんてこともないです」
私は、顔の前で手を振って、笑いながら否定した。
藤本さんも、冗談が上手いんだから。
課長のことは、今までそんな風に思ったことも見たことないし、これからずっと、上司と部下の関係だ。
それ以上になることなんて、無い。
きっと。
