それとも、一人の家に帰って、やっくんと過ごした日々を追憶しては、別れたという現実に引き戻されて、悲しくなるのが、嫌だから…?
一人でいるのは、寂しくて、悲しくて、辛かった。
だから、こうしてふとした、さりげない優しさと温かさを感じると、傷ついた心が癒されて、甘えたくなってしまう。
一人で、いたくない…。
もう少しだけ、課長と居たい。
私はそこで、はっと我に返り、手で振り払うように甘えた思考を消した。
私は、今何を思ったんだろう…。
寂しいからって、悲しいからって、課長に居て欲しいと思ってしまうなんて。
ダメだ…。
最近ずっと仕事で課長に迷惑をかけているのに、これ以上甘えてしまったら、課長の負担になってしまう。
負担になるのだけは、避けたい。
「…はい。帰ります」
これ以上ここに居てはいけないと思い、私は俯いたまま課長に言った。
