……えっ?
佐藤の言葉がすぐに、理解出来なかった。
俺のことについて、と何度も頭の中で反芻してようやく理解する。
俺はタイピングする手を止めて、佐藤のことを真っ直ぐに見つめた。
「……俺のこと?」
佐藤が俺のことについて何を訊きたいのか分からなくて……その気持ちが分からなくて眉を寄せた。
でも分からないのは確かだけれど、少しでも俺に興味を持ってくれたと思うと胸が高鳴っていく。
「はい。あの、今日のお昼の時、藤本さんから、聞いたんですけど、課長が私のことを良く藤本さんに聞いているっていうのは、本当なんですか?」
……えっ。
「えっ」
と、思ったのと同時に声に出てしまった。
予想外の直球を受けて、どう返したらいいのか全く頭が回らない。
俺が、藤本さんに佐藤の情報を聞き出していると、知っているのか⁈
それも、藤本さんに聞いて⁈
俺は、ストーカー行為がバレたのとひた隠しにしてきた気持ちが見透かされると狼狽えた。
確かに藤本さんには、彼女のしっかりとした性格を知っているから龍御寺や社長と違って言いふらしたりしないだろうと思って、口止めはしていなかったけれど……。
まさか、不意打ちで本人に言ってしまうと思っていなかった。
まさに、不意打ちだ。
今まで佐藤に、俺がコソコソと裏で情報を聞き出していると言っているような気配は藤本さんから無くて、これからも本人に言わないだろうと油断していたら……。
なんだか、先回りされたような気がした。
“コソコソしてないで、男なら正面から行きなさいよ”という、彼女のメッセージも込められているように感じた。
そして、昼休みの後にどうして藤本さんが俺に“佐藤が異性として見ていない”と言ってきたのか、なんとなく分かった。
「……藤本さんが、言ったのか?」
数分は経過しただろう。
俺は、どこか強張った声で訊いた。
