……何もないのに、何故……。
すぐに佐藤の視線一つで敏感に反応してしまう俺は、理由を考えて妙な期待を抱いた。
いやだから、自分に都合よく解釈するのはよそう。
全て、俺の願望にしかならないのだから。
「……あの、課長……」
不意におずおずと頼りない声が聞こえて、思考が断ち切られる。
俺は顔を上げて、佐藤を見つめた。
「なんだ」
どうしたのか気になって仕方がないが、努めて相変わらずの素っ気ない声を出した。
「あの、少しお聞きしたいことがあるのですが、いいですか?」
「なんだ、在庫のことか?」
「あっ、いえ、それとは違う事なんですけど……」
「じゃあ、なんだ?」
「あの、仕事のことではなく、課長のことについて……、なんですけど……っ」
