「……あーあ、休み終わっちゃったね。せっかく深雪ちゃんと美麗ちゃんに、食事の誘いを申し込もうと思ったのに〜」
気付けば、そう不服そうに言った龍御寺が佐藤に少しでも手を伸ばせば触れられるような距離にいる。
……っ、あやつ、無意識のうちなのか簡単に人のパーソナルスペースに入りよって!
しかも、み、“深雪ちゃん”って、馴れ馴れしく下の名前で呼びやがって……。
俺だって、三年間上司していても全く親しくないから、まだ呼んだこともねえのに……。
俺は妙な嫉妬と羨望を龍御寺に抱きながら、二人に近づく。
「お前はもう、帰れよっ。用はすでに終わっているだろう。それから、もっと離れろ」
俺は、佐藤から龍御寺を数メートル引き離して、『佐藤、戻るぞ』と言ってから佐藤にくるりと背を向けた。
「では、私も失礼致します。佐藤さん、また」
藤本さんが綺麗なお辞儀をして、その場から去って行く。
「おい、佐藤。早く行くぞ」
「あっ。はい」
俺は『寂しいなぁ』と言う龍御寺一人を残し、内心そわそわしながら佐藤とエレベーターに乗り営業のフロアに戻った。
