本日、結婚いたしましたが、偽装です。




……分かっているけど、諦めることも出来ない。



藤本さんは、龍御寺の相手をする佐藤の方をちらりと見ると、おもむろに口を開いた。



「さっき深雪ちゃんと、貴方の話をしていたんだけど……聞いて落ち込まないでくださいね。貴方のこと、全く異性として見ていないらしいの。だから、大変ね。結構難しそうだけど?」



藤本さんは少し声のトーンを落として、そっと教えた。



俺の好意を貫くことに難しい、すなわち佐藤に俺の気持ちが届くのは皆無に等しいということだ。



藤本さんは、佐藤のことを教えてくれるけれど、本当に包み隠さずにストレートで教えてくれた。



だけど俺の気持ちを応援してくれているのか、どこか心配そうな表情を浮かべている。



俺は、内心傷付いたのを隠して、口を開いた。



「それでも、俺は本気ですから。だからご安心ください」



そう言ってから口角を上げて、諦めない姿勢を示した。



藤本さんは、少し驚いたように目を開いてから、ふっと微笑んだ。



“じゃ、頑張って”と言われたような気がした。



その時突然、昼休み終了を告げるチャイムの音が鳴った。