「鬼ちゃんって、分かりやすいよね〜。“あの子のこと”、時々目で追いかけたりさ、あと妙に、“あの子が俺の目を見てくれないんだけどどうしよう”って、よく酔った時にこぼしてたりさ〜。もうそれって、好きじゃん?ってすぐ分かったよ〜。あとさ、あんだけ頑なに見合い話断ってたからさ、もう心に決めた子がいるのかな〜って。で?あの子とどうこうなりたいとか思っているの〜?付き合うの?」
「……龍御寺、いい加減黙って食え」
今、俺と龍御寺は会社の近くのチェーン店の牛丼屋で昼食をとっている。
他の会社のサラリーマンや作業員の男性達と一緒に、牛丼をかきこむ。
早くて、安くて、美味いの三拍子が揃う牛丼は本当に俺たちの味方だといつも思っている。
そして龍御寺は紅ショウガたっぷりの大盛りの牛丼を食べながら、俺に牛丼屋に入ってからずっと同じ質問をしていた。
俺は隣に座る龍御寺に冷たく言って、中盛りの牛丼をかきこむ。
……隠していたどころか、普段から龍御寺の前で佐藤のことを目で追ったりしたり、酔った弾みで目を見てくれないとか、言っていたのかよ⁈
案外、ガードは固い方だと思っていた自分が実は緩々だったということに衝撃を受けながら。
「えー、だって長年の付き合いだよ?鬼ちゃんのそういう恋愛系のこと、すっごく気になるに決まってるじゃ〜ん。国宝級イケメンなのに学生の時からあんま浮いた話なかったし、彼女いた時も少なかったし。それから堅物の鬼ちゃんが人を好きになったらどうなるのか、純粋な興味もあるし〜」
「興味本位で茶化すつもりなら、何も話さねえからな」
