龍御寺と応接室を出て、びしっと黒のスーツを着た取引先の役員らしき男性二人に会釈してから社長室を出て、エレベーターに乗った。
俺は、先ほどから頬から全身に血が巡って赤くなっているような気がしてならなかった。
龍御寺は営業部のある階数のボタンを押すと、エレベーターが下降し始めると壁に凭れて俺を見てきた。
「……お前、いつから気づいてたんだよ…」
こんちくしょう、言わなくてももうとっくに気づかれていたと思うと悔しいやら恥ずかしいやらで奴の顔が見れねえ……。
「え〜?何のこと〜?」
龍御寺は、はて?というように首を傾げた。
その反応もわざとらしく見えて、憎たらしい。
「とぼけんなよ。分かってんだろ?……俺が、その、なんだ、っ、い、いいなって思ってる相手がいるってよ……」
俺は、先ほどよりも頬が熱くなって鼓動が高鳴っていくのを感じながらごにょごにょと質問の内容を教えた。
……うわ、はっず……。
こんなことを龍御寺に言ったことなんて、今までに一度も無かった。
「あー、はいはい。うん、知ってるよ〜。今日さっき会った、あの子でしょ?……可愛い子だったよね〜」
龍御寺は“俺の好きな人”を思い出しているのか、エレベーターの天井辺りに視線を投げながら言った。
「……狙うなよ?」
やけに“俺の好きな人”と初対面だったのに距離が近かった龍御寺に警戒する。
「あっはっは!う〜ん、どうしようかな?鬼ちゃんがささっと行動に移さないなら、狙っちゃおうかな〜?」
龍御寺はニヤニヤと心底から楽しんでいるかのような笑顔で首を捻って迷う仕草をする。
「っ、やめろ!彼女は、ダメだ!」
