……ん?
そういえば、何度も見合い話を断っているのに次から次へと話が来るのは何故だ?
「社長、でもどうして何度も断っているのに見合い話がくるんでしょうね」
純粋にそう不思議に思って訊くと、社長と龍御寺が目を瞬かせながら合わせた。
何なんだよ、なんか二人で変な通信でもしてんのかよ。
「えっ、やだ、もー……。鬼たん、分かってないんだからん」
「ねえ〜。鬼ちゃん、何にも分かってないんだから〜」
「だから何なんだよ⁈何なんですか!」
二人して小馬鹿にしたような言い方にムッとする。
「鬼たんは中身がどうであれ見た目はすんごくいいのよ」
「はあ?ていうか中身がどうであれってどういう意味ですか?」
「まあ多少性格に難ありでも、やっぱ顔なのよぅ。鬼たん国宝級のイケメンってめっちゃ有名なんだよ〜。それでその噂を知ったり、見合い相手の写真を見た女性達は一瞬で虜になって鬼たんと見合いしたいって言うんだって」
……要は、外見を重要視して顔目当てでってことか。
「なるほど、分かりました」
「鬼ちゃん、国宝級イケメンってとこは否定しないんだねー」
「あら、そういうりゅうりゅうだって千年に一度の奇跡のイケメンって呼ばれてるよ。僕も、いつも君達イケメンに囲まれていい歳して胸を高鳴らせているんだ。はあ、今でもドキドキし過ぎて死んじゃいそう」
俺は社長の言葉を半分に聞いて、ふと腕時計を見る。
もう少しで昼休みか……、その前にやっておきたい仕事があるのにこんなところで駄弁ってる暇はない。
「鬼たん、君は僕の超タイプなんだよ。正直言って僕が鬼たんと見合いしたいもん。……こんな胸の高鳴りは今まで感じたことがない。好きだお、鬼たん!」
「あぁ、そうですか。あなた奥さんいるじゃん。それからおかしな動悸なら医者に行った方がいいですよ。話終わったんならもう失礼しますね」
「えっ〜⁈社長、もしかしてそれって、鬼ちゃんのこと好きってこと〜?まさに今流行りのおっさんずL、」
「愛も何も芽生えんわ!もう失礼しますから!」
くるりと身体の向きを変えて、応接室のドアに向かう。
「あ、鬼たん、鬼たん」
「はい?なんですか?」
声音に棘を生やしてまだ何かあるのかと思いながら振り向く。
社長は頬づえをつくと、不意ににやりと笑った。
「ムフフッ、鬼たんが見合い話を断るのは、もしや〜、好きな人がいるんじゃないのかな〜?って思っただけだお」
