「にゃ!そんな、経費で買うわけないじゃん!鬼たんそんな一方的に疑うなんて、ひどい!」
社長は両手で顔を覆うと、泣く素振りをした。
「まあまあ、鬼ちゃん〜。そうすぐ疑わないの〜。社長がそんなことするわけないでしょ〜。もう社長も泣かない〜。よしよし」
龍御寺がすかさず社長の近くに行き、社長を慰める。
「……すみません、言い過ぎました。それから出過ぎた真似をしました。ですが、どれも俺の本心ですから。思っていること、考えていることを言ったまでです」
俺は背筋を伸ばして、真っ直ぐと社長を見据えた。
自分の父親と昔から仲が良かった社長だからではなく、自分の雇用主に対して意見をした。
俺と社長は、互いに腹に溜めずに言いたいことはその場で言い合うという開放的な関係だった。
だから社長は俺の性格を知っているし、また俺も社長の性格を知っているので例え無遠慮な言い合いをしてもそれがこの会社での社員生活に影響することは決してなかった。
これがきっと、また違う会社の社長相手なら決して許されないことなのかもしれない。
だけど、より社員が働きやすいよう改善の点や提案は他の社長が相手でもしただろう。
このおちゃらけた変なキャラクター好きの社長だからというわけではなかった。
社長は両手から顔を覗かせると、にっと笑った。
「うんうん、鬼たんはいつもそうだよね〜。敢えて包み隠さず言うところは本当にいつも鬼たんの“パパりん”に似てるね。……分かった。最新システムの導入の件は近いうちにしっかり計画を立てよう。まだ時間かかるかもしれないけど待っててお」
そして社長はいつものように戯けた。
「あ、ありがとうございます……。なら、これでやっと本題に入れますね。今回も話というのはどこからですか?」
両親や社長が持ってくる話というのは、見合い話だった。
互いに釣り合った家柄や学歴を重視されたご令嬢との話は、もうかれこれ数え切れないほどやって来ている。
