本日、結婚いたしましたが、偽装です。



「いいんですか?」


佐藤が俺におずおずと、訊く。


「ああ。だが、もう一度はないぞ。もう一回ミスを起こしたら、今度こそ他に頼む。……お前のこと、信じてるからな」


いつでも完璧にやってほしいとは思っていないし、誰でもミスはして当然だと分かっている。


だけど……やはり仕事はそうではいけないのだ。


俺は完全にまだ佐藤のことを信じていない自分がいることに罪悪感を感じてそれを隠すように言ってから、佐藤に背中を向けた。


それから社長室に行くべく、フロアを出る。


色々な方面で人を信じることが元より苦手な俺は、『人を信じるのもいいものなのかもしれない』と密かに思った。