間に入って、龍御寺を佐藤から離す。
「え〜、僕のパーソナルスペースは、半径一ミリ以下だよ〜」
龍御寺は、変わらず何がそんなに楽しいのかヘラヘラと笑っている。
……こいつはいつもこういう感じだった。
そのあとも少しだけ、パーソナルスペースが半径一ミリ以下の龍御寺に対して俺は8.60光年と言って地球からシリウスくらいまでの距離くらい無いといけないとか無駄話をした。
まあそんなに離れていなくてもいいのだけど、俺はあまり人と距離を縮めることが苦手だった。
親しい人しか……両親や龍御寺といった気心が知れた人しか近づいて欲しくない。
見知らぬ人……同じ職場で何年か一緒に働いている人でも必要以上に近づいて来られると無意識のうちに警戒してしまう。
だけどなぜか、佐藤には初めからそう思わなくて、逆に俺から佐藤に近づいていた。
佐藤にならパーソナルスペースに入ってきてほしい……。
『涼平って、なんか人を寄せつけないよね。彼女の私にもなんか……よそよそしいし。冷たいよね』
『涼平、あなた一人の人と長く続いていないそうじゃないの!そんなだと婚期逃しますわ。早く今度こそ長く続くお相手を見つけなさい。さもなければ、お父さんとあなたのお相手を決めますからね!』
……う、わ、なんで今、パーソナルスペースという単語だけで嫌な記憶を思い出してんだよ。
龍御寺を見てみれば、まだどうでもいい話をしようとしていた。
「でも、距離遠すぎだよ〜。そりぁ、シリウスは冬の星座でこれからの季節に人気だけどさ〜、上手く言ったけどさ〜、僕ら人間では物理的に無理だよ〜。身持ち堅いね、鬼ちゃん。……おばさんが急かすのもなんだか分かるよ」
……余計なことを言い出す前に龍御寺をここから追い出そう。
それに、龍御寺も一応何か俺に用があってきたのかもしれないしな。
「もう無駄話はいいんだよ。それより、俺に何か用があって来たんだろう?」
「うん、そう。分かった〜?社長が鬼ちゃんのこと、呼んでるよ〜。また、例のことで」
