「 あ〜。誰か分かんないって顔してるね。えーと、君とは初めましてかな。僕は、龍御寺 俊哉 (りゅうおんじ としや)っていうの〜。以後お見知りおきを」
「はあ……。あ、私は、佐藤 深雪 と申します」
と、思った矢先に上機嫌な笑顔の龍御寺が佐藤に近づいていく。
……っ、マズイ!
龍御寺はロックオンした女は必ず落ちるまで諦めないしつこい男でもあった。
女の好みは決まってなくて、“良い”と思ったらすぐ狙う龍御寺に佐藤がロックオンされたらマズイと焦る。
「うん、佐藤、深雪ちゃんね。覚えとこ。じゃあ、深雪ちゃん」
俺が焦っているのを知ってか知らずか、そうしているうちにも龍御寺は笑顔で佐藤と距離を詰める。
佐藤は困惑したような表情で、龍御寺を見上げている。
距離感の無い龍御寺に今まで感じたことはなかった強い怒りを感じて、すぐにそれを抑えた。
……佐藤にそれ以上近づくなよ。
佐藤だって困っているじゃないか。
しかも初対面で下の名前で呼ぶなよっ。
『ちゃん』付けとは本当にこいつは馴れ馴れしい。
俺はすかさず龍御寺と佐藤の間に入る。
「馴れ馴れしいのは変わらずだな。後、もう少し離れろ。常々思っているが、お前のパーソナルスペースの基準、どうなってんだよ」
