シエル

「…あの…えと。。近くないでしょうか?」



「…緒花顔真っ赤。可愛い」



「かわっ……」



平然な顔で可愛いとか言わないで欲しいです



入学式以来、彼はよく私のところに来てくれる




それは友達がいない私が可哀想だからなのか



暇つぶしなのかはわからない


それはどちらでもいいのだけど




彼は常に近いんです




どうしてでしょう?



図書室で勉強していたら、急に彼が来まして



隣に座り、私をずっと見てる




「…ひ、日比野君は勉強しないんですか?」




隣から視線を感じながらも、そう聞く





「うん。俺は緒花を見るのに忙しいからしないよ」





日比野君。それは忙しいって言わないんだよ


「ねえ緒花。名前で呼んでくれないの?」



「…名前?日比野君、名前嫌いって言ってなかったっけ」



前教室で、誰かに名前で呼ばれた時『嫌いだからそれで呼ばないで』




なんて言ってた気がする




「うん。好きじゃないよ。…でも緒花ならいいかなって」



ニコっと笑う顔はほんとに可愛い




でも彼はほんとにわからない



教室ではクールで無口な方なのに


私の前だとよく喋る




…私に心開いてくれてるのかな



だったら凄く嬉しい




「……アオ君」




私は背の高いアオをみる




すると、アオ君は少し照れくさそうな顔をして私を撫でる




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