短編集

『あ、あぁ!』

勝利の笑みを浮かべた理緒が私を見る。

しかし、その顔はすぐに消える。

私の手が動かなくなったからだ。

「いい加減諦めてよ!紗凪、3袋中2袋食べたじゃん!」

『それとこれとは関係ないでしょ!』

「あるよ!」

手に力を入れたままで私たちはギャーギャー騒ぐ。

すると、横から入ってきた涼が、争いの元凶を奪い、食べた。


『………。』

「………。」

「ポリポリ」

束の間、訪れた静寂。