短編集

「どうしたの?そんな深いため息ついて☆」

さも心配ですよ、という感じで言った割には、全然そうではない顔の理緒が隣から私の顔を覗き込む。


『別に〜、ただ明後日のこと考えてただけー』

と言いつつ、目の前に広げられているお菓子の中から迷わず最後のプリッツに手を伸ばす。


「えー?紗凪は気が早いねぇ?」


理緒は、私がプリッツを大好きということを知っていてなお、私と同時に手を伸ばす。


『…。そお?』


理緒の手を妨害しつつ、プリッツをとる。


「そうだよー!」


と、その時、袋がずれて、私の指は何もとれず、固まった。

いや、訂正しよう。

袋がずらされて、私は何もとれなかった。