【side綺羅】
「…………ん……あ?ここどこ……………………あ"ぁ!!!!」
_____バッ!
勢い良く布団の中から起き上がる。
気持ちよくてついつい眠ってしまったようだ。
「時間は!?まかさ遅刻じゃないよね??」
急いで備え付けの時計で時刻を確認してみると、あと15分で昼休みが終わってしまうとこだった。
結構眠ってしまったよう………。
保健室の先生もその頃にはもう帰って来ていて、私を見ると『あら?そこにいたの!?』って反応してた。
カバンはソファーの横のとこに置いてたんだけど、気づかなかったみたい。
「そろそろ戻るね」
先生に一言声をかけて、私は保健室を後にした。
『あと15分ぐらいだったら、教室に行ってもいいかな~』なんて心の中で思いながら、職員室付近の階段を降りようとしたとき、
_______バサバサバサ……………。
「あ~!!やっちゃったぁ……」
廊下で1人の女の子が、何やら持っていた書類を落とした。
女の子は後ろ姿だから、このまま階段を降りれば見たこと気づかれないんだろうけど………、
見てみぬふりは良心が痛むよね。
ってことで、
「大丈夫?」
一緒に書類を拾う。
「え?」
女の子はまさかこの辺に誰かがいるとは思ってなかったらしく、座ったまま驚いた顔してパッと前を見た。
フワッと巻いた茶髪の髪。クリっとした目に長いまつ毛。
頬はほんのりピンクに色づいており、顔は私の顔がデカく見えるかのように小顔。
まぁ、簡単に言うと美女ってこと。
取りあえず、下に散らばった書類を拾い上げる。
「はい。これで全部だよね?」
「ありがとう!」
微笑む姿や仕草など可愛らしくて、絶対男の子にモテる子だな~って思った。
けど、この子どっかで見たことあるような……………………。どこだっけ………………?
「あ、萌行かなきゃ!ありがとね。じゃあ」
「あ、うん」
考えながら後ろ姿を見送る。
あの、声の喋り方。そして、名前…………………萌?
萌って……………………………………蘇芳遥輝があん時呼んでた名前じゃん!!!
だから私見たことあったのか……………………。