記憶を失くした少女【完】




行きなれた真っ白いドアを『ガラッ』と開けると、私がいつも座っていたソファーに先生は腰を下ろしていた。


「あら~!朝ぶりね♪笑」


まさかここには来ないだろうと思っていたのか、一瞬驚いた顔をしていたが、いつもの明るさで私に話しかけてくれた。



「どうしたの?」


「ここで弁当食べていい?」

「別にいいわよ~!」


いつもの席は先生が座っているから、今日は向かいのソファーに腰を下ろした。


鞄の中から弁当を取り出すと、お茶と弁当箱の蓋を机の上に置き、ご飯を食べる。


「あら~!上手じゃないの!!綺麗な彩りね♪」


「ありがとうございます!」


作った弁当を褒められ、一気に元気になる。


一応、彩りには気をつかってたから、そこをついてくれて嬉しい。

味もそこそこ良いし、初心者なりには案外上手い方だと思う。私って、意外と才能あったりして…………(笑)


「な~に、ニヤついての~?(笑)」

顔に出てしまってたみたい。


「別に何にもありません」

「え~?あ、わかった!!」

先生の謎のハイテンション。

そんな先生は、何だかニヤニヤしてた。


「RYUSEIの人に会えたのね~!?」

…………………………え?

「そう言えば、あの子たちB組だったわね(笑)カッコイイからファンになっちゃったんだよね!?誰推しなの!?」

何だろうって、一瞬身構えてしまった私が馬鹿みたい。