記憶を失くした少女【完】




ギャルな女はものすごい顔で、椅子に座っている私を睨みつける。


なんか、居心地が悪いからなのか、それとも知らない場所に独りだからなのか。


何だか周りが敵に感じて仕方ない。


あのときから、私はそうだ。周りを気にし、怯えてばかり。


「前から思ってたんだけど、あんたムカつくんだよ!!!」

____バッ!!

女は私を殴ろうと手を上にかざす。

そして、私に向けて振りかざそうとしていたとき。


____ガラッ。


「おはよー!」

ドアが開くとともに、犬っころみたいな笑顔の、元気な金髪の男が入ってきた。


それに続き、ピンク色の髪の毛の男の子…………(?)と、黒髪の男の人も入ってきた。


その瞬間、教室の空気がガラリと変わるのが分かった。


「あれ?なにこの雰囲気(笑)」

辺りを見渡す金髪の男。


異様な雰囲気には気づいたようだ。


…………………って、あの人どっかで見たことあるような。


____パチッ。

ジーッと見ていたら、その人とふいに目があってしまった。


「何してんの?お前ら。あ、喧嘩か!!?」


最後の『喧嘩』の部分だけ、なんかキラキラしたものを感じたような……………………。


取りあえず今ので、一気にこちらに視線が集まってしまったようだ。