「あの…………私……」
私は誰……………?さっきの子?
「取りあえず検査をしようか」
優しく微笑んだお医者さんに言われるがまま、点滴を外されたあと、検査に向かった。
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「検査の結果、異常はどこにもないようだね。脳も正常、体の中の臓器も大丈夫そう。体は痛いだろうから1週間は安静にしてもらうが、直ぐに退院出来るだろう」
1週間は安静に………………か。
確かに混乱している中、退院してもアレだしね。
「ただ1つ問題なのは……………………………記憶が思い出せないことですね」
結局、何も思い出すことが出来なかった。
「………………はい」
「先ほど言ったように脳には異常なし。つまり………強く頭を打ったことによる一時的な記憶障害ではないかと思う」
記憶……障害…………?
「それは戻るんですか?」
隣に座っているあの男の人は真剣そうな顔をしている。
「………………戻る場合と戻らない場合がある。だから、今の段階じゃまだ何とも言えない状況だ」
…………………………私は記憶喪失……。
「取りあえず安静にすること。後は、1から情報を教えある程度の生活を送ることだ。それによって思いだす例もあるようだから」
「わ…………かりました」
横顔は何だか悲しそうに見えた。



