記憶を失くした少女【完】




____バシッ。


思いっきり手を振り払う。


「いてぇなぁ…………!」

払われたことにより怒る相手。


さっきのとは違い、豹変した口調。


「優しく話しかけてやったのに、その態度はねぇだろうが!!」

「ナメてんのか?あ"?」


今のうちに逃げたいけど、弁当を持ったままだし、カバンを下に置いてるから、すぐ直して逃げるってことが出来ない。


出来たとして、カバンを置き去りにして逃げるぐらい。


時間がもっとあったら他にもできる範囲が広がるんだけど、それほどの余裕はないし。


「ってか、名前なんていうの?学生証見せろよ」


「……………………っ!」


学生証は絶対見せれない。

写真も載ってるし、名前もクラスも写ってるから。


もし、見られたらバレてしまう。


私が休学生と分からなくても、前の私ぐらいは知ってるはずだ。



「どうせ胸ポケットにでも入れてるんだろ?」

そう言うとは私の胸元に手を近づける。


「やめてください!」

間一髪のところで後ろに下がる。

見られたくないし、そもそも触られたくもない。


「別に取らねーよ!見るだけだし(笑)」

それでもグイグイやってくる。