「…………自分が誰か分かるか?」


「分からない。ここにいる事さえも理解できていないの」


そんな言葉にさらに表情を曇らせる。


「と、取りあえず担当の先生を呼んでくるな!大人しく部屋で待ってなさい」


動揺しつつもその人は病室の外へと出ていった。




そして、再び沈黙が訪れる。


「変な人………」


ポツリと呟いた言葉は静かな部屋にとけ込むように消える。


やることのない私は、思い出すために情報を探す。

机の引き出しを開けてみたり………………………あ。 


「これ……………」

2番目の引き出しに入っていたのは、ピンク色のカードケースに入れられた学生証。


山田綺羅(やまだ きら)。5月6日誕生日の17歳…………。

さっき言ってた綺羅って………………この人?


証明証の中の写真の少女は、何だかいかにもギャルって感じの見た目。

目力なんてすごい。付けまつ毛にカラコン………。高校ってメイクして学校行くのありなの!?


それにしても、何でこんな物がここに……………………これじゃまるで……………………。


____ガラッ。


「目が覚めたようですね。山田綺羅さん」 


私が綺羅という女みたいじゃないか。