記憶を失くした少女【完】



【side綺羅】

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……………………あの後、屋上から出てきて保健室に戻るには早いとその辺をブラブラ歩いたとき、廊下で集まる女子たちに絡まれた。


「あ~!あんた噂の子でしょ?」

「休学の子じゃん!マジで黒髪パネぇー!」

いかにもギャルって感じの4人組。


「なんで休学してたのー?」

「ちょと、それは失礼だって(笑)やめろっ!」

「え~!知りたぁ~い!」


私が喋らなくとも会話は進む。


「そういえばさ、あんたあの子知ってる?」

ギャルの1人が面白そうに私に話をふってきた。


「あの子?」

「うん!山田綺羅って言うんだけどさ~、ソイツも今休学してんの(笑)」


______ドクンッ。


「あのRYUSEIの追っかけか(笑)萌嫌がってたよね~、やめてって!笑」

「…………………………どんな子だったの?」

「あ、ソイツ?見た目はウチラとあんま変わんないんだけどさぁ、すげー男たらしで色んな男と援交してるって噂あったよね?それで金を稼いでるだとか(笑)」


「でも、高1の最初まではそんなことなかったのにねぇ~。急にあんなこと始めだしたよね」


高1まではそんなんじゃ、なかったの?


「姫になりたいからって、萌に嫌がらせしてたとか噂もあったよね?馬鹿だよねアイツ(笑)そんなことしたら、RYUSEIに目つけられて終わりっての!笑」


私……………………私…………………。


そんなことしてたの?


先生が言ってた暴走族RYUSEIに絡んでたってどんだけ前の私はヤバイやつなの……。


前の私を殴りたい。


「で、あんた名前は何なの?」


「え?」

「見たことないし1年?」


「私……急いでるからごめんね………………」


私は臆病だ…………。

バレるのが嫌で、さっきからごまかしてばかり。


いずれはバレてしまうのに、知られるのが怖くて言うことが出来ないなんて。





それにしても、前の私って本当にいい噂は聞かないなぁ。


あの子に嫌がらせもしてたのか……………………そんなに姫の座ってのが良いとは思えないんだけど、前の私はなりたかったんだよね。


援交……とかも言ってたけど、それも本当?