記憶を失くした少女【完】




その人は対して反応なし。


やっぱ知ってるのかな?


「あの…………」


「俺は蘇芳遥輝(すおう はるき)。この学校の生徒なら俺のことぐらいは知ってるだろ?」


…………………残念ながら知らないですね。

みんなが知るぐらい有名人なんですか?


「知らないふりか?」

いや、『ふり』ではなく知らないんです。


って、さっきから私心の中敬語でツッコんでるし(笑)


……………まぁ、そんな事はいいとして、記憶がないこと言ったほうがいい感じ?


同情されるのは好きじゃないけど、普通に知られるぐらいにはどうってことない。


変なふうに噂されたくはないけど、記憶がないことを含めて今の私を見てほしいし。

それに前の私と比べてほしくない。


よし。



「私、記憶喪失なんだ」

「……………そんな嘘で誤魔化す気か?」


あ、この人伝わってない!!


「この間のことは覚えてる」

「じゃあ、どうゆう事だ?」

次は具体的に言ってやるか………………。


「私は歩道橋の階段の上から落ちちゃって頭を打った衝撃で記憶喪失になった」


「…………………………ん?それじゃあ、入院したのは「落ちたから」」


病気とかじゃないよ。


「そんならあの時言えよ!!」

言うの面倒くさかったんだよ。


「みんなお前のことしらねぇけど、どこの学年なんだ?」 

……………………本名言ったのにまだ気づいてないんだ?それとも前の私との絡みがなかっただけ?


でも、流石にクラス言ったらバレるな。

もし、知ったらこの人どんな態度取るんだろう?

軽蔑したかのような目で私を見るの?それとも怒り散らす?

……………………あぁ、なんかここまで来ると知られるのが逆に怖い。


「………どうした?」

「私のクラスは…………」