記憶を失くした少女【完】




「さぁ、乗ってください!」


学校帰りに倉庫にはよってるから、下っ端くんとは久しぶりではないんだよね。



「ありがとう!」


下っ端くんに渡されたヘルメットをかぶると、吹かし音と同時にバイクが動き出した。



そして再び数十分後。

見慣れた倉庫に到着すると、私は直ぐさま2階へと駆け上がった。


_____ガチャ……。


「あ、綺羅ー!!!!」


「え!!?」


部屋の中に入ってきた私を確認すると、ソファーの上でへこたれていた大平くんは息がえったように起き上がりこちらに手を広げて飛びついてきた。


「……………あ」

だが、それは私の目の前に現れた遥輝の手によって阻止される。


「何だよ、遥輝ー!!せっかくの感動の再会を!!」


感動の再会って……………………いつも学校帰りに倉庫にはよってるでしょうが(笑)


「いきなり飛びつくと綺羅驚くだろ」


確かにびっくりしたよ。

ドア開けた瞬間飛びついてこようとするから。


「あ、そっか!そういえばもう買い物はよかったのか?」


「うん。さっき終わったとこだったの」

遥輝から電話がなかったらきっと普通に帰ってたよね。