みんなあの光景を中から見ていたのだろう。廊下を走る私の姿を変な目で見てる。
それもそうか。他校の生徒と言い争いをしているように外からは見えただろう。
取りあえず誰もいないどこかの教室にでも………………………………………
「ぎゃ!!」
空き教室を探し回っていたとき、誰かから教室に引き込まれた。
後ろにいて顔は見えないけれど……………………背丈や手のゴツゴツした感じ的に男の人。
「だ、誰…………ですか?」
恐る恐る後ろを振り向くと、私を引き込んだ人は西田くんだった。
「何か訳ありっぽかったから」
きっと西田くんもあの光景を見てたんだろう。
「…………………………ありがとう」
連れ込まれた教室は基本使われない物置きと化した空き教室で、他の生徒はほとんど入らない。
「何があったのか分からないけどさ、泣きたいときは泣いていいんじゃない?」
「…………え?」
「ん~、なんか泣きそうな顔してんから(笑)無理は良くないよ?ほら、俺の胸貸してやるから♪」
私……………………………泣きそうな顔してたんだ。
よかった、みんなに見られなくて。
「綺羅ちゃんのイメージとは程遠いけど、あの人たち友達か何か?」
「……うん。大切な前の友達」
「ふ~ん………………その割には何か揉めあってたように見えたけど?」
西田くん、軽そうにみえて結構周りのことよく見てるんだね。
「以前私が居場所だと思っていた場所が、違うこの居場所だったの。そんなこと知らずに幸せに過ごしていた私はその子の気持ちを考えていなかった…………………。そのためにその子を傷つけ、変わらせてしまった」
萌ちゃんは私に優しく微笑み、ときにはハッキリと意見を言ってくれるような、しっかりした子だったのに。
曲がったふうにさせてしまったのは、きっと私のせいだ。
「それに今までのことを思い出すと自分がいたたまれなくなって、正直みんなの側にいる資格が今の私にはない…………………」



