記憶を失くした少女【完】




【side綺羅】


ホームルーム終了後。窓の外を眺める人たちは何やら騒いでいた。


「ねぇねぇ、綺羅ちゃん!あれって蒼坂高校のじゃないー?」

近くにいたクラスメイトがそう声をかけてきた。


「綺羅ちゃんって蒼坂高校から来たんでしょ?もしかして友達?(笑)」


急いで窓際により外を眺めると、そこには校門の前で待つ遥輝たちの姿があった。


髪が赤とか…………………やっぱり目立つよ遥輝……………。


遥輝たちの周りには下校中の女の子たちがたくさん集まっている。


「ちょっと柄悪いよねー!やっぱりあの高校の生徒はみんな不良って話本当だったんだね……………あ!綺羅ちゃんは別だよ?」


いろんな人たちが遥輝たちを見てる。


良い目で見る人もいれば、毛嫌いするような目でみる人もいる。


「……………………………もう」

私はカバンを持たずに駆け出した。


遥輝たちは何を思ってここに来たのだろうか。


私は正直遥輝たちに会いたくなかった。


だって…………………………………


「綺羅!!!」


「お前、何で何も言わずにどこかへ行ったんだよ!」

「………遅えよ」


絶対みんなのことがまた恋しくなるから。