記憶を失くした少女【完】



取りあえず綺羅と話しねぇと、先に進まねぇ。


「綺羅と会う。放課後集合な」


「おっしゃ!!!!待ってたぜ♪」


「いいよ」


「あぁ」


「………………………遥輝、あのねぇ………」


萌だけは少し返事が違った。

「萌ね……………」

何だか少しためらっているようだ。


「危険な目にあったんだ。無理していく必要はねぇよ」

「違うの。そのぉ……………………萌、姫やめる」


「………はぁ!!??」


俺より先に声を開いたのは、大平だった。

そりゃ、驚くだろよ。


「何で辞めんだよ!!俺らがもうそんな事起きねぇように守ってやっから!!!辞めるなんて言うなよ……!」

「…………………………ごめんね、大平。でも、萌はもう無理なの」


スゴく深刻な表情だ。


正直萌には姫を辞めてもらいたくない。

転校してきてからずっと姫として、俺らを支えてくれた。

急にそんな辞めるなんて言ってほしくないのはみんな同じだ。