記憶を失くした少女【完】




【side遥輝】


「山田さんは新しい朝ヶ丘高校で生活してるよ。こことは違って一般校ってやつだな」


「よっしゃ!!!!その高校に乗り込むしかねーってことだな!!久々の喧嘩だ!!!!!」


「大平!!!」


仲間の元気も取り戻しいつもの状態に戻ったが、やはり綺羅のいない屋上はつまらない。


なぜ、綺羅はあの時振り向いてけれなかったのか。そんなことを意味もなく考えてしまう。


もしかしたらもうここには戻りたくないのかもしれない………………とかな。


いや、アイツはこの族を愛していた。居場所にしていたし、俺らもアイツのことを必要としていた。


きっと、なにか理由があったに違いない………と俺は思う。


「……………………海行こうって話してたのにな」

楽しみしていたからから、大平は元気がない。



「遥輝も元気ねぇな…………………綺羅のこと気に入ってたから」


「……………………まぁな」


元は女が嫌いで、言い寄ってくる女は適当にあしらってきた。

香水がキツく、顔はケバい。何しろあの喋り方が気にいらねぇ。

そんな俺が唯一平気だと思った女。それが、アイツだった。


「気にいらねかったら元々姫なんかにしねぇ」

「あ、それもそうだな!」