記憶を失くした少女【完】



【side綺羅】


あれから数分が経過した。遥輝たちはきっと見つけることが出来ない。見つけっこない。

だからせめて萌ちゃんだけでもこの場から逃したい…………。


でもどうする?窓はない。出入りできるのはあのドアだけ。


鍵かかってるけど、それを外したらどうになりそうよね……………………。


「ねぇ、萌ちゃん」

「な、何よ………」

「あのドアの向こうには見張りとかいるの?」

「なに……脱走する気?ドアの前には誰もついていない。きっと鍵がかかってるから大丈夫と思ってるのね。でも鍵はやつらの手の中だしぃ、ここから出るなんて無理よ」


確かにそうだけど、何か開けられるような物があれば………………………………そうだ。


「ねぇ、萌ちゃん。私の制服の胸ポケットに入ってるピン取れる?」


手が塞がってるから私は取れないんだよね。


「取れなくはないと思うけどぉ?」


そう言って私背を向けると、縛られた手で私の胸ポケットに入ってるピンを探す。


「あ、これぇ?」

「そうそう!2つね」

その掴んだピンを渡してもらい、それを一直線になるように伸ばす。

これでどうにかして鍵を開ける!!