記憶を失くした少女【完】



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目を覚したとき、驚くほどにこれまでの事が繊細に思い出せた。


優しかったお母さんは私がまだ5歳の頃に、交通事故にて亡くなってしまった。


お父さんは葬式で涙を堪えながら私を強く抱きしめたの。

だけどその1年以内にお父さんは違う人と再婚して、美生(みお)という妹が産まれた。

2人は妹を可愛がり、私に構わなくなっていったのが幼いながらに分かった。


そして私が中学に進学するのを機会に、お義母さんは私を追い出した。

『聡(さとし)さんも貴女にはせいせいしたって言ってたわ!ちゃんと向こうにマンションは借りてるし、お金は通帳に振り込むわ!だから、もうここには帰ってこないで!!!』

※聡さんは、綺羅のお父さんの名前。

13歳で私は一人になった。