記憶を失くした少女【完】




【side綺羅】


授業の休憩時間に、珍しく遥輝が私のクラスに来たと思うと私の隣の席にドカッと腰を下ろした。


ちょうど席替え終わったところで、みんなとはバラバラになっちゃったんだよね……………。


しかも無駄に遠いし。それで、大平くんたちは気分が萎えたっていってどこかに行っちゃったんだよ……………。


席変われとか周りの人に威圧してたけど、席替えっていうのはクジで決められた席に移ることが大切だと思ったから、止めなさいって言ったの。


ちょうど隣の人は、どこかに休憩しに行っちゃったから居なかったとこに遥輝が座った。

後で絶対驚くよね…………その人。


「珍しいね、休憩時間にここ来るの」 

いつもなら屋上にいるか、もしくはみんなを連れてどっか行くのに……………。


何かあったのかな?


「…………………萌」

萌ちゃん?


「萌がなんか………………」


ん?

「いや、なんもねぇ」  


えぇ………………そこまで言われると気になっちゃうよ!

「萌ちゃんがどうしたの?気にせず話して?」

「………………お前に言うことでもないが、萌が最近よく1人で昼間にどこか行くんだよなぁ」

「学校の外に用事があったんじゃないの?」

「前の萌は俺らと行くときしか抜け出さなかったんだが、最近は間隔を開けてよく外に行ってる気がする」


遥輝は萌ちゃんのことが心配なんだなぁ~。確かに、萌ちゃんは前から姫だったわけで顔がわれてる。その為1人で出歩くのはちょっと心配だな…………………それに萌ちゃん可愛いし、変なのに絡まれてないといいんだけど。


「私が今度聞いとこうか?」

やはり遥輝が聞くとなんか疑ってる感じがして、勘違いされても困るし、それなら私が聞いたほうがまだ無難だよね?


「あぁ、頼む」

きっと萌ちゃんに限って怪しいことはしてないと思うんだけどなぁ~………………遥輝ったら心配しすぎだよ!(笑)