記憶を失くした少女【完】



【side萌】


「ありがとうございましたー!また来てくださいね♪」


綺羅ちゃんは服とバッグとスニーカーを購入し、満足するとBelizeを後にし、水着の置いているお店へと歩き出した。


萌は特に買いたいものないから、何も買わなかったんだけどね。

っていうか、萌の好みじゃないんだよ。


萌はもっとフリフリしてピンクっぽい服が好きだから。ブランドだから高校生の萌じゃ高くてたまにしか買わないんだけどぉ……………綺羅ちゃんも貯めてからくるのかなぁ?


「綺羅ちゃんてさぁ~、この日の為にお金貯めてきたの?」


「え?ん~…………通帳からかな?今は独り暮らししてるんだけど、自炊してるしあまり食費とかかかんないんだよね。その分を服とかに使ってるの」


「独り暮らし寂しくない?」

「………やっぱり1人のときは静かだし、寂しくなるときあったけど、今はRYUSEIのみんながいるから全然寂しくないの(笑)」


「……………………………そっかぁ」


…………綺羅ちゃんが来てからみんな変わってしまった。

大平はあまり綺羅ちゃんに好意を持っていなかったのに、気づけば距離が縮まっていて。

瑠衣くんともコミュニケーション取れていて、勉くんとも普通に話せてる。

京也くんも綺羅ちゃんを受け入れてる。


そして……………遥輝。

女嫌いなのに、綺羅ちゃんには普通……………。RYUSEIにはいった当初、萌は遥輝にあまりいい顔されなかったのに、綺羅ちゃんはすぐに………………受け入れられてる。



元は誰にでも股を開くようなビッチギャルだったくせに………………………………。


記憶喪失なんてどうせ嘘でしょ…………。


萌は信じない。


あれはRYUSEIに近寄るための口実だって。


これ以上、綺羅ちゃんなんかにRYUSEIを荒らさせたりはしないから………………………。