「それより、どうすんだ。引退した身だがやんのか?」
旭川は急に真面目な顔になった。
「青雉は見逃せねぇ。……………って言っても正直俺の身体は動くかどうか分かんねぇ。だが、旭川と一緒だったら数分でケリがつくだろ」
「今の青雉の動きとしては、県内トップ2位の雷鬼(らいき)を蹴落とし、その座を乗っ取ることだ。いずれトップ1位のRYUSEIがターゲットになる日もそう遠くないだろうなぁ~」
「一般人は巻き込まないだろうが、相手は倒す為ならどんな手段も選ばないやつらだ。仮に綺羅の学校に仕掛けられたときがやはり困るな」
とにかくRYUSEIとぶつかるのだけは避けたいとこだ。
その為にはまず、やつらを潰さなくては……………。
「おい、旭川」
「あ?」
「情報収集もっと頼む。出来れば向こうの詳しい個人情報も分かったほうが潰しやすいから…………またいつものようにお願い出来るか?」
俺がそう言うと旭川は、フッ………と余裕の笑みを浮かべた。
「俺を誰だと思ってんだよ(笑)個人情報なんてお安い御用さ。むしろそれが仕事だしな!」
旭川は昔からの相棒であり、どんなにセキュリティーの頑丈な情報だってパソコン1つで解除する実力派ハッカー。
今はその能力を活かし、情報屋をやっている。
表立っては情報屋なんて言えないから、闇サイトで依頼を引き受け、このバーで密かに密会し、依頼内容を聞き、情報を提供して生活をしている。
「いや~、ほんと楽だよ!口止め必要ねぇし、怪しまれねぇし!」
旭川曰く、普通の店なら注意を払って仕事を受けなくてはならないから、知り合いの店はとても気が楽だそうだ。