記憶を失くした少女【完】




「で、何か言おうとしてなかった?」

定位置にお互い戻ると、真正面にいる凌馬さんが聞いてきた。


「あ~………………………うん」

凌馬さんから聞かれるとなんか言い出しにくい感じになるけど、元はといえば私が話しかけたんだし、せっかくだから聞いておこう。


「友達が『ある人』を探してるの」


「ある人?」

「うん。友達がまだ中学生の頃に繁華街であった人らしいんだけど、大人な雰囲気で、喧嘩が強くて………………そうそう!一瞬にして族を潰したらしいの!」

言えば言うほど、なんかすごく感じる……(笑)


だってさ、1人で族を潰したんだよ!?


普通に考えて無茶だって。