記憶を失くした少女【完】




取りあえず、凌馬さんの用事が終わるまで、大人しく待っておこうと思いながら、向こうに行く前に置かれたいつものジュースをストローを通して飲む。



こうして1人で周りを見渡してみると、私が場違いみたいにほとんどの人が大人で、離れてるとはいえ、ほんのりタバコの匂いが香ってくる。


少し薄暗いオレンジ色のライトを浴び、凌馬さんの入れたお酒で乾杯する人たちの顔は、楽しそうで混ざりたくなりそうだ。


_____♪


「ん?……………え。大平くん!?」


着信音がしたと思い携帯を見てみると、画面には大平くんの名前が映し出されており、急いで携帯を耳に当てた。


「どうしたの?」


そういえばあの後、LIMEのIDと電話番号を交換してたんだった………。


「別に用事じゃねーけどよ、暇だから電話した!」

よ、用事じゃないんかい……………。


取りあえずこのままだと周りの迷惑だと思い、携帯を耳につけたまま、外へと出た。


「暇ってねぇ………………」

「別に綺羅も暇だったんだろ~?(笑)」


「確かに今、暇だったかもしれないけど___…………」


そこまで暇ってわけでもない!


それに、20時で暇もおかしい気もするんだけど……。


探せば他にやることあるんじゃない?

家族のお手伝いとか、勉強とか!!


………………まぁ、大平くんがしないか。(失礼)