記憶を失くした少女【完】




______ドカッ!!


「う"………っ」


それは一瞬の出来事だった。


苦しそうな蘇芳遥輝の前にいたはずの男たちは、次々とその場に崩れ落ち、俺らはそんな光景を呆然と眺めていた。


背は高くて、大人っぽい雰囲気からおそらく学生ではない。


髪は黒色で、紺色のコートに身を包んだその男。


相手の高校生はその人の異常ならぬ殺気と強さ、そして顔を見て、『ある人』だと確信したらしく、急に怯えはじめた。


「俺らは………………なんもしてねぇ!!アンタと戦う理由がねぇよ!!」


「………そうだ!」


「アンタに全滅させられたら、今の地位も落ちしまう……………」

「やめてくれ………………」


助けを求めるそんな声。

まるで俺らのときの奴らとは別人のようだ。


「………残念だったな。今日は虫の居所が悪い」


しかし、その男はそんな声には耳をかざす、残りのメンバー全て全滅させた。


……………………そう。この数分で1つの族が全滅したのだ。