記憶を失くした少女【完】




____グイッ!


「だ……」

『誰?』と振り向こうとしたする前に、その人が息を切らしながら焦ったように口を開いた。


「おい……!!ここどこか知らねぇのか!?」

その声はよく聞いたことのある声で、俺みたいなやつとは永遠に関わることのないと思っていた蘇芳遥輝だった。

こんな焦ってる蘇芳遥輝は見たことない………。


「え……っと、気づいたら変な道に入っちゃったみたい」

「早くここから出るぞ!!ここは、県内3位暴走族蝮(まむし)の縄張りだ!!非道で有名な奴らだ。見つかったらただじゃ済まねーぞ!」


それを聞いて気絶しそうになる。

いくら名前を知らなくても、暴走族と聞けば大体はどんなやつらか想像できる。


そんな奴らの縄張りだなんて、知らなかった。


「教えてくれてありがとう……。でも、なんで蘇芳くんはここに?」

「あ"?そんなん、歩いてたらこっちを行こうとするお前がいたから焦って止めに来たんだよ!いかにもヒョロいから絶対にRINEの奴らじゃねーと思ってな」


………………上の存在の奴らは、俺らみたいなやつに冷たいとばかり思ってた。

だから、こうゆうことされるのに不思議な感覚を覚えた。

「とにかく、ここから出るぞ」  

「うん!」

行きの道を急いで戻ろうとしたが、運悪くその時は訪れた。

「あれー?こんなとこにガキがいる」

「ウケるな(笑)ここを誰の縄張りだと思ってんだよ」

「しかも、運悪いなコイツら(笑)よりによって、この俺らのときに遭遇するなんてな」


高校生だろうか。背が高く、素人から見てもわかるぐらい迫力がある。

しかも、後からゾロゾロとたくさん人がやって来た。


「このガキ………………………なんか気に食わねぇな」


真ん中にいた厳ついの男が蘇芳遥輝を睨み上げた。


きっと、堂々とした態度に苛ついたのかもしれない。


「取りあえず、やっとけ。もしかしたら、どこかの族の下っ端かもしれねぇしな」

その男が指示すると、周りは一斉に俺らを取り囲んだ。


もはや逃げ場なく、絶体絶命のピンチ。