記憶を失くした少女【完】




そんなある日、辛い毎日から逃げたくて勇気を振り絞り名前を変えたいと初めて両親に相談をした。


両親がつけてくれた大切な名前だけど、これ以上名前のことで苦しめられたくなかった。


だけど、両親はそんな気持ちには分かってくれず、そんな悲しみと怒りから俺は感情的に家を飛び出した。


真っ暗な外とは反対に繁華街の街はキラキラと輝いていて、仕事帰りのサラリーマンや水商売の女の人、お酒臭い男など、色んな人が行き交っていた。


宛もなくフラフラと歩いていた俺は、別の道に入っていたことに気づいていなかった。


気づけば人気の少ない路地裏のような狭くて暗い場所を歩いていて、後ろから走ってくる誰かに勢い良く腕を掴まれた。