記憶を失くした少女【完】





「……………………」 
  

ん?急に遥輝が大人しくなっちゃった。


「どうしたの?」


バイクの後ろに乗ってるから遥輝の表情は分かんないけど、何だか怒ってるっぽいような………………………。でも、怒らせる要素なんてさっきの話にはないし、何でだろう?


「……………何もねぇよ」

間が空いたあとに返ってきたのは、何だか素っ気ないような言葉。


それから倉庫に着くまでの間、何となく私は黙ったままで、遥輝も黙ったままだった。






「ほら」

「ありがとう」


でも降りるときは至って普通で、私はそんな遥輝の手を取って降りた。