記憶を失くした少女【完】




外のバイク置き場に向かうと、そこには既にバイクを暖めた遥輝たちが待っていた。


「遥輝~。綺羅の準備遅くて遅れた☆」


「えっ!?みんなが早すぎるんだって……!」

しかも、なにっ!?その語尾の星は!!


「………フッ。取りあえず乗れ」


遥輝はそう言ってヘルメットを手渡した。


「っていうか、さっきの笑いなんなの?みんなが早かったからだけで、私は至って普通だったんだから!」


「………そこじゃねぇよ」


「え?」

さっき、それで笑ったんじゃないの?

「最初は怯えてたお前がアイツらに言い返すまでになって、仲良くなったなって思ってな」

「遥輝は私のお父さんか(笑)」

「………………………そこはお兄さんだろ」


でも確かに私があの大平くんに言い返すなんて、最初の頃は思っても見なかったなぁ。


やっぱりそれって、仲良くなった証拠だよね。


「お兄さんはもういるから……じゃあ弟とか?(笑)」

もし遥輝が弟だったら、手を焼きそうだけどね……(笑)

RYUSEIの総長だし。人見知りっぽいし。

でも、姉弟には優しそう……!


「ん?綺羅って兄貴いたのか」

「本当のお兄さんじゃないけど、いつも私を気にかけてくれるお兄さん的存在の人。……………………そういえば最近お店行ってないし、そろそろ会いに行きたいなぁ……」


最近凄く充実してるせいか、帰ったらすぐ眠くなっちゃうんだよね。


だから、凌馬さんのお店に最近行けてないし、凌馬さんとも会えてない。


LIMEではやりとりしてるけど、やっぱり会いたい。