「ほら、次移動だろ?行くぞ。」
『え、悠太、舞羽ちゃんと移動するだろ?』
掛けられたその言葉に、 少しビックリして前の方で友達との会話に花を咲かせる舞羽ちゃんと、目の前の顔を見比べた。
「?あぁ、だから3人で動けばいいんじゃねぇの?」
何言ってんだ、と言いたげに首を傾げる悠太。
『……いいの?』
「はぁ?なにが?」
『……いや、』
_あれ、…良いんだ。
悠太の事だから度が過ぎなければ、
二人の時間を邪魔するな。なんて事は言わないと思っていたけれど。
“きゃー!!玲先輩じゃない!?生だよ!?”
“うそっ、会えるなんてラッキーじゃん!!”
“は、話しかけたりして大丈夫なのかな!?”
“それはダメだよ、だって、…抜け駆けは禁止でしょ?先輩こわいし…”
……ほら、僕っていわゆる“王子様”だし。
いくら友達でも、
自分の彼女に近づくな、だとか。
あまり話して欲しくない、だとか。
お前が居るとやりにくい、だとか。
…僕は、女の子には、優しくしたいから。
自意識過剰かもしれないけれど、
舞羽ちゃんの意識が一瞬でも僕に向いたら、嫌だ、とか。
きっと意識なく、脳裏の何処かで色々な事を考えてると思っていて。
「何かよく分かんねぇけど、ちょっとトイレ行ってくる。」
『あ、うん!』
2人でいる時間が減るのは当たり前だし、
僕自身、距離を置かないといけない物だと思っていた。
……けれど、
「…だから、待ってろよ?」
遠回しに、されど確実に得た本人からの了承。


