【番外編】L'eau, je suis important...





『よっ、悠太!』

ぽんっ、と背中を叩いて彼の前の席に腰を下ろす僕。

「おー、はよ~。」

いつも通りダルげに返された挨拶に軽く頷きを返して、僕の目線が行くのはソイツの耳。

ピアスと言う飾り物は自分も同じ様に付けているから、余りちょっかいを掛けれないけども、そのピアスは悠太に似合っていると思う。

…まあ、口に出しても気持ち悪がられて終わりだから、言わないけとさ。

「なんだよ、今日遅ぇな。」

『あ、うんそう!聞いてよ、何かねー登校してたら絡まれてさ~』

朝から災難。そうボヤいた僕にニヤリと笑って「そりゃあ、ドンマイ。」と言葉を投げる悠太は何だか楽しそうで。

そんな笑みすら絵になってしまうのだから、コイツは凄いと思う。

…それも以下同文。同じ理由で口には出さないんだけれど。

悔しいけど、僕って結構、悠太に目を置いている所があるんだと思う。


「で、何でそんな事になったんだよ?」

『あー…女の子が絡まれててさぁ。』

「で、助けたと?」

『だって、見捨てて行けないでしょ。』

そうボヤいて鞄の中から教材を出す僕に、今度はケラケラと笑った悠太は、

「よっ、王子様ぁー」

珍しく、そう茶化した。


“王子様”


一部の女子の間で、僕がその通称で呼ばれている事は知っている。

他の人と比べれば、顔が整っている方だし、…女の子に優しくする事を心掛けているつもりだ。

だから、そう呼ばれて嫌悪感を感じる事は無いんだけれど…


『悠太に言われてもねー』