「ひとつだけしか思い出を残せないとしたら、あなたは何を残す?」



君がそんな難しい質問を僕にしたのは、昨夜のこと。君はいつものただの思いつきだったのかもしれないけれど、僕はそれをいつものように流すことは出来なかった。


おやすみ、君が小さく微笑んで背を向けてから、僕はずっと一番大切な思い出が何かを考える。


くそぅ明日寝不足になるじゃないか、少しだけ恨んだけれどその心配はなかった。


そうだ、僕に寝ずに考えることなんて出来なかった!

早く寝られることが僕の唯一の自慢だった!



それでも、君が作った朝ごはんのいい匂いで目覚めて気持ちのいい朝のはずだったのに、お腹減ったな、という感情の前に、一番大切な思い出は何だ?と考えながら寝たことを思い出したから、僕史上最大には悩んでいると思う。