キヨハルは眉間にシワを寄せている







「まあ、隠し通すさ。あちらさんにも、もちろんこっち側にもな」







「そうですね。これは俺とマナミと若の三人だけの秘密ですね。」







ふっ






「むさい男と秘密を守らにゃならんとは、俺は御免こうむるなぁ。」










「……リュージ。てめぇのためだろうがよ」









はは、キヨハルの昔に戻るこの感じが妙にこのごろ増えていたのは気のせいではないだろう








俺が若頭になってからだいぶ経つのにこういう所で気付かされる





若頭の意味と無意味さに...







俺があの組の2番手であることは、つまり、あの組をいずれは俺が支えなきゃならねぇ。引っ張って行かなきゃならねえ。


あのくそじじいが、いつかいなくなる。




そんな時のために俺は今、組の、家族のために若頭をやる。








だけど、親友が親友ではなくなる。家族が家族でなくなる。


















俺が俺で無くなる。







それは意味があって、むしろ無意味なことであって、だけど、意味のある。そんな感じであり、また、違うのかもしれない。








あのバカもこういう思いをするのかと考えたらちっとばかし気の毒ではあるが、それもそれで一興なことかもしれない…