〜五分後〜


「待たせたねアル君。
では行こうか。」

スインはいつのまにか現われて、いつもの事務的な口調でそう言った。


（…帰ったらハクアやミルカに相談してみるか…。僕一人じゃ持て余しちゃうしな。）

僕はスインに案内され、あの廃墟に戻ってきた。
「それじゃあ僕は帰ります。
鍵の位置が分かったら連絡をお願いします。」


僕は軽くお辞儀をして帰ろうとした…その後ろからスインが声を掛けてきた。

「アル君…どんな結果が待っていようと最後に決断を下すのは君だ。
それだけは肝に命じておきたまえ。
誰に何を相談してもな。決して後悔の無いように…。」


僕がスインの感情がこもった声を聞いたのは初めてだったかもしれない…。

「はい。」

さっきまでの動揺は何故か無くなり、そして僕ははっきりと返事をした。

「とりあえずは帰ろうかな。かなり疲れたし…。」

僕はアクビをしながら廃墟を出ようとした。


「…アル。」

後ろから静かで、しかし決して聞き逃す事が無い声が聞こえた。


「ハクア！？どうしてここに？」

僕は驚きながらハクアに聞き返した。